工事写真は、ただ撮ればいいわけではありません。
必要な場面で、必要な情報が分かるように残せていないと、記録として使えなくなることがあります。
実際の現場では、
- 撮るはずだった写真を忘れていた
- 必要な部分が見切れていた
- 黒板の内容が間違っていた
- 寸法や状況が分かりにくかった
といった失敗が起こることがあります。
こうしたミスは、後から気づくと取り返しがきかないこともあります。
特に、埋戻し前やコンクリート打設中など、その瞬間しか撮れない写真は注意が必要です。
この記事では、工事写真でよくある失敗を整理しながら、
- どんな失敗が多いのか
- なぜその失敗が起こるのか
- どうすれば防ぎやすくなるのか
を、現場目線で分かりやすく解説します。
工事写真の役割や、そもそも写真管理がどんな仕事なのかは、こちらの記事で詳しくまとめています。
→施工管理の写真管理とは?何を撮るのか・なぜ大変なのかを解説 | 現場監督の土木ラボ
なぜ工事写真の失敗が問題になるのか
結論からいうと、工事写真の失敗が問題になるのは、工事が適切に行われたことを記録として残す役割があるからです。
現場で撮る写真には、ただの記録写真以上の意味があります。
施工状況、出来形、使用材料、安全設備、品質確認などを後から確認できるように残しておくためのものです。
つまり写真管理は、
「ちゃんと施工したことを証明するための仕事」
とも言えます。
特に土木工事では、完成後には見えなくなる部分も多いため、施工中の写真がかなり重要になります。
工事写真でよくある失敗とは?
工事写真の失敗にはいろいろありますが、特に多いのは次のようなものです。
- 撮り忘れ
- 必要な部分の見切れ
- 黒板の記載ミス
- 寸法や位置関係が分かりにくい
- ピンボケや手ブレ
- 撮影方向や全景不足で状況が伝わらない
現場では、その場では撮れたつもりでも、後から整理すると「これでは使えない」となることがあります。
しかも工事写真は記録として残すものなので、ただ写っているだけでは足りません。
何の写真なのか
どの施工状況なのか
何を確認したい写真なのか
それが見た人に伝わることが大切です。
何を撮るべきか分からず焦っているうちに、施工がどんどん進んでしまったことがあります。
戻って確認したときには、必要な場面はすでに終わっていて、報告して対応を聞いたあともしばらく心臓がバクバクしていました。
あのときの焦りは、今でもよく覚えています。
工事写真の失敗は、単なる撮影ミスではなく、記録として使えなくなることが問題です。
まずは、どんな失敗が起きやすいのかを知っておくことが大切です。
よくある失敗1:必要な写真を撮り忘れる
工事写真で一番困りやすいのが、必要な写真の撮り忘れです。
特に施工途中しか見えない部分や、その日その場でしか撮れない場面は、後から撮り直すことができません。
例えば、
- 埋戻し前
- 配筋完了時
- 型枠組立状況
- コンクリート打設中
- 出来形確認時
- 使用材料搬入時
- 安全施設設置時
などは、タイミングを逃すと再撮影が難しいことがあります。
撮り忘れが起こる理由としては、
- 現場が忙しくて余裕がない
- 次の作業に気を取られる
- 必要写真を事前に整理できていない
- 複数班が同時に動いていて追いきれない
- 誰かが撮るだろうと思って確認が曖昧になる
といったことが多いです。
今は、事前に基準に則り当日作業の進捗で撮るべき写真を把握し行動しています。また、写真を撮るときは、このあと隠れる部分かどうかを意識するようにしています。撮り忘れを防ぐために作業班にあらかじめ撮るべきポイントでどの作業状況・管理項目で写真を撮るかの打合せを実施しています。
さらに、迷ったときは撮らないより撮っておく方が安心なので、完璧を目指すというよりも、まずは取りこぼしを減らす意識で対応しています。
撮り忘れは、後から一番困りやすい失敗です。
だからこそ、現場が始まる前に必要写真を把握し、先回りして動くことが大切です。
よくある失敗2:肝心な部分が見切れている
撮ったつもりでも、あとから見返すと必要な箇所が見切れていることがあります。
対象物の位置、寸法、施工箇所、材料名など、本来見せたい部分がしっかり写っていないと、その写真は記録として弱くなってしまいます。
これは、
- 急いで撮っているとき
- 画面全体をしっかり確認できていないとき
- 何を見せる写真なのか意識できていないとき
に起こりやすいです。
例えば、
- 寸法を示す標尺の端が切れている
- 撮りたい施工箇所の一部が入っていない
- 黒板は入っているが肝心の対象物が見えない
- 位置関係が分からず、どこを撮った写真か伝わらない
といったケースがあります。
自分も、撮った瞬間は問題ないと思っていたのに、あとから見返すと標尺のピンボケや作業員の袖まくりなど使えないと思う写真が結構ありました。
ちゃんと撮っているつもりでも、使えない写真になっているとかなりもったいないです。
特に忙しいときほど雑に撮りそうになるので、今でもそこは気を付けています。
今は、シャッターを押す前にこの写真で何を伝えたいのかを一度考えるようにしています。
また、1枚だけで終わらせず、全体が分かる写真と詳細が分かる写真をセットで撮ることも意識しています。
よくある失敗3:黒板の記載ミス
工事写真では、黒板の内容も重要な情報です。
施工箇所、工種、測点、寸法、撮影内容などが間違っていると、写真の信頼性が下がってしまいます。
特に電子小黒板を使っている場合は便利な反面、
- 工種名を入力し間違える
- 前回の黒板内容のまま撮ってしまう
- 分類先を間違えている
- 似た名称で登録して混乱する
といったミスも起こりやすいです。
また、黒板が正しくても、
- 文字が小さくて見えにくい
- 角度によって読みにくい
- 情報量が多すぎて分かりにくい
ということもあります。
実際、黒板ミスは今でも起こります。事前に作成できるようになった電子小黒板のおかげで
多少記載ミスは減ったものの、工種選択を間違えていて探すのに苦労するといった場面もあります。
また、土工の転圧状況などの回数規定をきちんと行えているか等数字が係わる場面では黒板の数字が直っていないといったミスを起こしやすいです。
黒板ミスは写真の内容以前に、記録としての信頼性を下げてしまいます。
便利な道具を使っていても、入力内容の確認は手を抜けません。
よくある失敗4:寸法や状況が分かりにくい
写真は撮れていても、寸法や施工状況が分かりにくいことがあります。
特に出来形管理や確認写真では、ただ対象物を写すだけでは不十分です。
例えば、
- リボンロッドがよれている
- 標尺が傾いている
- 数字が読みにくい
- 撮影角度が悪く奥行きが分かりにくい
- 比較対象がなく寸法感が伝わらない
といった状態だと、せっかく撮っても使いにくい写真になります。
手元作業者に協力してもらう場面では、撮る側だけでなく、持ち方や位置の伝え方も大事になります。
寸法写真を撮る際は、作業の合間を見たり、一度手を止めてもらったりして作業員さんからリボンロッドなどを持ってもらい撮らなくてはいけません。便利ツールがあれば1人で撮れる場面もありますが、幅や延長を確認するような場面では、ポールなどを持つ人の協力が必要になることもあります。
そのためポールの傾きやロッドのよれなどを直してもらう際、どうしたら伝わるか嫌な言い方になっていないか等伝え方にも気を遣います。
寸法写真は、写っているだけでは足りず、数値や状況が正しく伝わることが大切です。
そのためには、道具の扱い方や撮影時の伝え方も重要になります。
なぜこうした失敗が起こるのか
工事写真の失敗は、単に注意不足だけで起こるわけではありません。
現場では、写真以外にも考えることが多いため、どうしてもミスが出やすくなります。
例えば、
- 現場管理をしながら撮影している
- 複数の作業が同時進行している
- 作業を止めずに進めたい場面がある
- 手元や重機の安全確認も必要
- 撮影後の整理まで見越して動かないといけない
といった状況では、写真だけに集中することは難しいです。
特に忙しい日ほど、
「今撮るべき写真」
と
「現場を止めずに進めること」
の両立が難しくなります。
忙しい日は、自分だけでなく現場全体が忙しいため、現場の段取りや打ち合わせを行いつつ
写真管理などの自分の業務も行わないといけません。そのため撮るべき写真が抜けていた。
等といったミスが起こりやすいと感じています。打設日は生コン車の到着時間打設時間などの
管理項目が増え、打設時の状況写真も隠れる場所の為撮るものが増えます。
写真よりもどう立ち回るか段取りが大事なんだと常々思って動けるよう準備しています。
工事写真の失敗は、現場特有の忙しさや同時進行の多さとも関係しています。
だからこそ、根性だけではなく、段取りで防ぐ意識が大切です。
工事写真の失敗を防ぐコツ
撮る前に必要写真を把握しておく
現場に出てから考えるのではなく、あらかじめ必要な写真を整理しておくと、撮り忘れや黒板ミスを減らしやすくなります。
施工管理基準書の該当工種に何mごとに撮影するか等記載がある為工事数量表と照らし合わせ
撮影する工種を把握し図面の測点を確認し今日撮影するポイントはあるかを確認しています。
前日の作業終了時の進捗を考慮し朝の段取りでとるべき写真をどのタイミングで撮るか等
事前に黒板の作成を行い準備するようにしています。
撮影は現場で行いますが、失敗を減らす準備は現場に出る前から始まっています。
撮影直後に一度見返す
その場で1回見返すだけでも、見切れや黒板ミス、ピンボケに気づけることがあります。
後でまとめて確認するより、その場で修正できる方が確実です。
見返さずに採用した写真を取り込んだ際にピンボケしていた見切れていたなどは
よく起こります。見返す際のポイントとしてやはり数値や状況の細部がカメラ越しでも
分かるよう確認するようにしています。
撮影後の数秒の確認が、後からの大きな手戻りを防ぎます。
写真が撮りやすい環境を作る
工事写真は、撮影技術よりも準備の方が大事なことがあります。
標尺やロッドを使いやすくしたり、必要な道具をすぐ出せるようにしたりするだけでも、かなり撮りやすくなります。
写真道具に加えて腰袋やその他の道具もあるため、写真関係の道具をひとまとめにできるツールボックスはやはり必須だと感じています。前の記事でもお伝えしましたが1人で撮る場面もあります。その際、標尺スタンドや鉄筋マグネットはやはり便利です。鉄筋写真においては鉄筋カラーマーカーを使用し撮影箇所を分かりやすく明示したりそういった小物を落とした場合にトングなどが活躍する場面もあります。
また、鉄筋を組む際に使用する結束線が落ちている場合もある為マグネットツールを使用したりもします。
写真の失敗は、撮る瞬間だけでなく、準備のしやすさでも減らせます。
工事写真を撮りやすくするための道具については、こちらの記事でもまとめています。
→ 施工管理の便利ツール4選|写真管理・測定をラクにするおすすめ道具 | 現場監督の土木ラボ
施工班や手元との連携を取る
必要なタイミングで声をかけてもらえるようにしておくと、撮り忘れを減らしやすくなります。
また、寸法写真では協力が必要になるため、伝え方や事前共有も大切です。
やはり工事写真は段取りが大事といっても回り切れないことはあります。そのため施工班の職長や作業員の方にここまで進んだら写真を撮らせてほしいと伝えて、タイミングになっても来ない場合は連絡をもらうなど工夫をしています。協力してもらうために日々のコミュニケーションを大事にしています。やはり年上の方ばかりの環境が多いため話し方や言葉遣いなど気を付けつついい関係を構築するよう努めています。
工事写真は1人で完結する仕事ではなく、周囲との連携で精度が上がります。
工事写真は「撮影」より「段取り」が大事
工事写真で失敗を減らすには、カメラの技術よりも段取りの方が重要です。
何を撮るか、いつ撮るか、何を準備しておくかを整理できていると、現場での動きがかなり楽になります。
実際には、
写真管理が上手い人ほど、撮る前の準備や先回りができている
ことが多いと思います。
本当に上手い人は、施工班の手をなるべく止めません。計測して撮る出来形等は無理ですが
施工状況において事前に段取りや先回りがきちんとできているため
状況写真等は施工班の流れに沿ってスムーズに撮影しています。
その先輩を見習い日々の現場巡視時や作業終了時の進捗を基に
逆算して段取りを組めるようなりたいと思い現場を見るように努めています。
工事写真は、センスよりも準備と先回りが大事です。
撮影前の段取りを意識するだけでも、失敗はかなり減らせます。
特に意識して撮りたいのは不可視部分の写真
施工管理の写真管理で特に重要なのは、
完成後に見えなくなる部分の写真です。
例えば、
- 配筋の状況
- かぶりや鉄筋の間隔
- 型枠内部の状況
- 埋設物の位置
- 埋戻し前の状態
こうした部分は、施工中にしか確認できません。
完成後に見た目がきれいでも、中の施工状況までは分からないため、
見えなくなる前に記録しておくことがかなり大切です。
コンクリート構造物でいえば、型枠を外したあとは表面しか見えません。
だからこそ、配筋や打設前の状態を施工中に写真で残しておく必要があります。
まとめ
工事写真でよくある失敗には、
- 撮り忘れ
- 必要な部分の見切れ
- 黒板ミス
- 寸法や状況の分かりにくさ
などがあります。
こうした失敗は、現場が忙しいほど起こりやすく、後から気づくと取り返しがきかないこともあります。
だからこそ、
- 事前に必要写真を把握する
- 先回りして段取りする
- 撮影直後に確認する
- 道具や環境を整える
- 周囲と連携する
といった意識が大切です。
工事写真は地味に見えて、工事を証明する大事な記録です。
丁寧に積み重ねることが、結果的に現場全体の管理にもつながると思います。
それでは皆さんご安全に!👷♂️✨🫡

コメント