工事写真は、施工管理の仕事の中でも新人がつまずきやすい業務のひとつです。
一見すると「写真を撮るだけ」に見えるかもしれませんが、実際には
・何を撮るか
・いつ撮るか
・何を一緒に写すか
・撮った後にどう整理するか
まで考えながら動く必要があります。
特に大きなミスになりやすいのが、必要な写真の撮り忘れです。
後から気づいても撮り直せない場面も多く、埋戻し前やコンクリート打設中、配筋完了時などは、その瞬間を逃すと記録に残せなくなることがあります。
自分も最初の頃は、何を撮るべきか分からず、確認しているうちに作業が進んでしまって焦ったことがありました。
だからこそ今は、撮り忘れを防ぐために事前の確認や段取りを意識するようにしています。
この記事では、
・なぜ工事写真の撮り忘れが起こるのか
・新人が特に意識したいチェックポイント
・撮り忘れを防ぐための段取りや工夫
・現場で少しずつ慣れていくための考え方
を、現場目線で分かりやすく解説します。
撮り忘れだけでなく、見切れや黒板ミスなども含めた工事写真の失敗については、こちらの記事で詳しくまとめています。
→工事写真でよくある失敗とは?撮り忘れ・見切れ・黒板ミスを防ぐコツ | 現場監督の土木ラボ
なぜ新人は工事写真を撮り忘れやすいのか
新人が工事写真を撮り忘れやすいのは、まだ現場全体の流れがつかめていない中で、複数のことを同時に考えなければいけないからです。
現場では、
・作業の進み具合を確認する
・安全に気を配る
・職人さんや重機の動きを見る
・次の工程を把握する
・必要な写真を押さえる
といったことを同時に考えながら動かなければなりません。
そのため、何を撮るべきかを理解しきれていないうちは、目の前の対応に追われて写真まで意識が回らなくなりやすいです。
また、工事写真は「とりあえず撮る」だけでは足りません。
必要な場面で、必要な情報が分かるように残す必要があります。
だからこそ、新人のうちは撮影のタイミングや内容に迷いやすいのだと思います。
新人の頃、実際に工事写真を撮り忘れてしまったことがあります。
その日の朝礼後、上司と個別に打ち合わせをしていて、当日の作業に沿った状況写真を数種類撮ってきてほしいと頼まれました。
ただ、実際に現場へ出ると、写真を撮るだけでは終わりませんでした。
施工班から「上司に確認してほしい」と頼まれたり、別の作業班からも確認を求められたりして、分からないなりに対応していたため、確認作業が多くなっていました。
その結果、頼まれていた状況写真を撮っていないことに途中で気づきました。
気づいたときには、施工班はすでにその作業を終えていて、状況写真が撮れない状態になっていました。
その瞬間に冷や汗をかいたのを今でも覚えています。
工事写真は証拠になるものなので、撮り忘れそのものが怖いです。
実際の検査でも、「この状況の写真はあるか」「この作業の養生の写真はあるか」と、写真の有無を細かく確認されることがよくあります。
それが工事の評定にも関わるため、やはり写真は大事だと常々感じています。
また、新人の頃は、上司に相談できないことも大きな怖さでした。
実際には、別の作業箇所で取り直せばよいと上司が対策を考えてくださったため、大きな問題にならずに済みました。
でも、あのとき相談せずに抱え込んでいたら、もっと大きなミスになっていたかもしれないと思うと、今でもぞっとします。
この経験があってからは、撮り忘れを防ぐために、事前確認だけでなく、迷ったときは早めに相談することも大事だと感じるようになりました。
新人が撮り忘れやすいのは、注意不足だけが理由ではありません。
現場の流れに慣れていない中で、写真以外にも考えることが多いからこそ起こりやすいミスです。
工事写真の撮り忘れが困る理由
工事写真の撮り忘れが困るのは、後からやり直せないことが多いからです。
例えば、
・埋戻し前の状態
・配筋完了時
・型枠組立状況
・コンクリート打設中
・出来形確認時
などは、そのときにしか撮れない写真です。
作業が進んでしまえば、同じ状態をもう一度撮ることはできません。
また、完成後には見えなくなる部分は、写真で残しておかないと確認できなくなります。
工事写真は、工事が適切に行われたことを記録として証明する役割があるため、撮り忘れは単なるミスでは済まないことがあります。
工事写真の撮り忘れは、後から取り返しにくいミスです。
だからこそ、新人のうちから「撮り忘れないための動き方」を意識しておくことが大切です。
工事写真で撮り忘れを防ぐために新人が意識したいチェックポイント
その日に何を撮るかを先に確認する
撮り忘れを防ぐために一番大事なのは、現場に出る前に「今日は何を撮るのか」を把握しておくことです。
その日の作業内容や進捗を見ながら、
・どの工種で写真が必要か
・どのタイミングで撮るか
・何を一緒に写す必要があるか
を先に整理しておくだけでも、現場での動きやすさはかなり変わります。
現場に出てから考えると、どうしても後手に回りやすくなります。
新人のうちは特に、事前確認をしているかどうかで余裕が大きく変わります。
朝の段取りで自分が確認しているのは、当日の作業内容に合わせて、どの箇所で写真が必要になるかという点です。
前日の作業進捗を見ていると、「明日は○○の状況写真を撮ることになるな」と、ある程度先の流れが読めるようになってきます。
ただ、前日の進捗確認が不足していたり、当日の朝礼準備などに追われて確認を後回しにしてしまったりすると、いざ現場に出たときに黒板がまだ作れていない、撮るべき写真を逃してしまう、といったことが起こります。
自分も、こうした確認不足で慌てそうになったことがあるので、今は朝の段取りの段階で「今日は何を撮るのか」を先に整理してから現場へ出るようにしています。
事前に確認しているかどうかで、現場での余裕はかなり変わります。
だからこそ、新人のうちは特に「今日は何を撮るのか」を先に整理しておくことが大切だと思います。
後で見えなくなる部分を特に意識する
工事写真の中でも、特に撮り忘れてはいけないのが、完成後や次の工程で見えなくなる部分です。
例えば、
・配筋の状況
・かぶりや寸法
・型枠内部の状態
・埋設物の位置
・埋戻し前の状況
などは、後から確認することができません。
そのため、「このあと隠れる部分かどうか」を意識するだけでも、撮り忘れを防ぎやすくなります。
新人のうちは、まず不可視部分を優先して意識するだけでもかなり変わります。
撮るべき写真がよく分からなかった新人の頃、先輩から
「まずは後で見えなくなる部分を押さえておけ」
と教えていただいたことがあります。
やはり、完成後も見える部分については、検査員が直接目視で確認できます。
一方で、工事施工中の細かな状況は、完成後には見えなくなってしまう部分がほとんどです。
実際の検査でも、
「この施工の養生写真はあるか」
「資材搬入時の受け入れの写真はあるか」
といったように、資材や施工時の養生状況について確認されることが多い印象があります。
そのため今は、資材搬入時の枕木の設置状況や、搬入後の資材養生など、後から見えなくなる細かな部分を特に意識して写真に残すようにしています。
撮り忘れを防ぐうえで、後から見えなくなる部分の意識はとても大切です。
迷ったときは、まず「このあと隠れるかどうか」を考えると判断しやすくなります。
作業の流れを見て先回りする
工事写真は、その瞬間だけを見ていると撮り忘れやすくなります。
大事なのは、今の作業だけでなく、その次に何が始まるかを意識して動くことです。
例えば、
・次にどの作業へ進むのか
・どのタイミングで撮るべきか
・今のうちに道具を準備しておくべきか
を先に考えておくと、慌てずに対応しやすくなります。
新人のうちは難しく感じるかもしれませんが、作業の流れを意識して現場を見るクセをつけるだけでも、少しずつ先回りしやすくなります。
新人の頃は、先回りして動くことまで考える余裕はほとんどなく、毎日その日の作業に沿って行動し、必要な写真を撮れるようになるだけで精一杯でした。
その後、現場の配属先が変わったときに、「段取りまで意識するように」と言われ、工事の計画工程表や週間工程表を見るようになりました。
そこから、今やっている作業だけでなく、次にどんな作業が入るのかを意識するようになりました。
やはり、作業の流れを意識するようになってからは、写真の撮り忘れが格段に減ったと感じています。
次の流れが見えているからこそ、作業員さんの手をなるべく止めずに写真を押さえ、スムーズに次の施工へ進めるように動く意識が少しずつ持てるようになりました。
撮り忘れを防ぐには、目の前だけでなく次の動きを考えることが大切です。新人のうちは難しく感じても、工程表や作業の流れを見る習慣がつくと、少しずつ先回りして動きやすくなると思います。
少し先を読む意識があるだけでも、現場での余裕は変わってきます。
黒板や道具を先に準備しておく
必要な場面で黒板や標尺、ロッドなどがすぐ使える状態になっているかどうかも、撮り忘れ防止には大切です。
撮る直前になって準備を始めると、
・黒板内容が間違う
・必要な道具が手元にない
・作業が進んでしまう
・撮るタイミングを逃す
といったことが起こりやすくなります。
そのため、事前に黒板を作成しておいたり、必要な道具をまとめておいたりするだけでも、かなり動きやすくなります。
撮り忘れを防ぐには、撮影前の準備も重要です。
必要な道具がすぐ出せるだけでも、タイミングを逃しにくくなります。
写真の撮り忘れを防ぐには、事前確認や準備、周囲との連携も大切です。
写真管理を楽にする段取りについては、こちらの記事でもまとめています。
→施工管理の写真管理を楽にするコツ|現場で意識している段取りを解説 | 現場監督の土木ラボ
施工班や手元と事前に声を合わせておく
撮り忘れを防ぐには、自分だけで抱え込まないことも大切です。
必要なタイミングで声をかけてもらえるようにしておくと、写真を押さえやすくなります。
例えば、
・ここまで進んだら呼んでほしい
・この作業の前に一声ほしい
・寸法写真のときは協力してほしい
といったことを事前に共有しておくだけでも、撮り忘れを減らしやすくなります。
写真管理が上手い人ほど、自分ひとりで何とかしようとするのではなく、周囲との連携も段取りに入れている印象があります。
実際には、現場作業や管理だけでなく、事務所での書類作成などもあるため、常に作業へ付ききりでいられるわけではありません。
そのため、自分は朝礼時に作業内容を確認するときに、どの場面でどのような写真を撮りたいかをあらかじめ共有するようにしています。
あわせて、そのタイミングで声をかけてもらい、もし近くにいない場合は電話をもらえるように打ち合わせをしています。
また、こうした連携を取りやすくするために、日頃から施工業者さんの名前をなるべく覚え、それぞれとやり取りをしながらコミュニケーションを取るように心がけています。普段からコミュニケーションを取っておくことで、必要なタイミングで連携しやすくなり、写真の撮り忘れも防ぎやすくなると感じています。
撮り忘れ防止には、周囲との連携も大事です。
必要なタイミングで協力してもらえるようにしておくと、現場での負担も減らしやすくなります。
撮った直後に一度見返す
せっかく撮っても、後から見返したら
・必要な部分が入っていない
・黒板が違っている
・ピンボケしている
・数字が読みにくい
といったことがあります。
これを防ぐには、撮影直後に一度確認することが大切です。
その場で見返せば撮り直せる可能性がありますが、後から気づくと間に合わないこともあります。
忙しいときほど省きたくなる確認ですが、数秒の見直しが大きな手戻りを防ぎます。
埋戻し中や出来形計測の際に、標尺やリボンロッドが見切れている写真を撮ってしまったことがあります。
しかも、そのときは撮影後に見返すことを怠ってしまい、埋戻しが完了したあとに気づいたため、撮り直しができないという事態になりました。
その経験もあり、先輩方から昔の話を聞いたときは印象に残りました。
以前はフィルムカメラを使っていて、現像してから使える写真かどうかを確認していたそうです。
そのうえで、「今はデジカメや電子小黒板が使えるのだから、撮った後にその場で確認しなければいけない」と指導を受けました。
それを聞いてからは、撮影後にきちんと見返すことを意識するようになりました。
見直す際は、ピンボケ、見切れ、黒板の記載ミスがないかを確認するようにしています。
撮影後の数秒の確認は、撮り忘れや撮り直しの防止につながります。
撮ることだけで終わらせず、その場で一度見返すことが大切です。
新人のうちは完璧より「取りこぼしを減らす意識」が大事
新人のうちは、最初から完璧に写真管理をこなそうとすると、かえって焦りやすくなります。
もちろん必要な写真を押さえることは大事ですが、最初のうちは
・何を優先して撮るべきか
・どこが見えなくなるのか
・どのタイミングで声をかけるべきか
を少しずつ覚えていくことが大切です。
迷ったときは「撮らないより撮っておく」「後で見えなくなるものを優先する」といった意識を持つだけでも、取りこぼしを減らしやすくなります。
完璧を目指すより、まずは撮り忘れを減らすことを意識する方が、結果的に現場でも落ち着いて動きやすくなると思います。
新人の頃は、最初から完璧にできることはありませんでした。
むしろ、完璧にやろうと思えば思うほど空回りしてしまった経験があります。
今は、常にその日の作業内容や流れを把握することを大事にしています。
それを意識するようになってから、目の前の作業だけでなく、次の作業やその先の流れも少しずつ見えるようになってきました。
結果として、次の作業の流れや今後の進み方も把握しやすくなり、取りこぼしを減らすことにつながっていると感じています。
新人のうちは、完璧さよりも取りこぼしを減らす意識が大切です。
少しずつ判断できることを増やしていくことが、結果的に写真管理の上達につながります。
まとめ
工事写真で撮り忘れを防ぐために新人が意識したいのは、
・その日に何を撮るかを先に確認する
・後で見えなくなる部分を意識する
・作業の流れを見て先回りする
・黒板や道具を準備しておく
・施工班や手元と事前に連携する
・撮った直後に見返す
といった基本的なチェックポイントです。
工事写真の撮り忘れは、後から取り返しにくいミスです。
だからこそ、撮影の技術よりも、段取りや確認の積み重ねが大切になります。
新人のうちは焦ることも多いですが、完璧を目指しすぎず、まずは取りこぼしを減らす意識で動くことが大事です。
現場で少しずつ経験しながら、自分なりの確認の流れを作っていくことが、撮り忘れ防止につながると思います。
それでは皆さんご安全に!👷♂️✨🫡

コメント