タウンウォッチング / Town Watching

タウンウォッチングとは、まちの魅力や課題を発見する町歩きのことです。何かしらのテーマをもって歩くことで、普段は気付かないことを知りながら町を歩きます。このタウンウォッチングを通して、町歩きの楽しさとまちの面白さを共有することが目的です。

ただ歩くこととは何が違うのか。1つの例として、次の画像をご覧ください。

吾妻橋

駒形橋

佃大橋

勝鬨橋

特にこれらの橋にピンとこない人は、今の印象をよく覚えておいてください。どれも橋だね、ぐらいの感想しかないと思います。

これらの橋は、いずれも隅田川に架かる橋です。上流から吾妻橋、駒形橋、佃大橋、勝鬨橋の順に架かっています。

これらの橋の竣工年は、1920~60年代で、現在よりも水上交通の需要がある時代でした。水上交通を行うためには、橋下には船を通すゆとりが無くてはいけません。さらに、海を利用して遠方から物資を運ぶ際、いくら上流の橋にゆとりがあっても、下流の橋が水面ギリギリに架かっていたら船を通すことができません。よって、下流にある橋ほど船を通しやすい形になっているのが一般的であると言えます。

吾妻橋は上路橋という、通路が主構造の上側にある橋です。その下流にある駒形橋は、船が通る真ん中の橋を下路橋にしています。下路橋は、主構造の下に通路があり、船を通しやすくしている構造です。ちゃんと下流にある橋の方が船が通りやすくなってます。構造形式は同じアーチ橋というアーチの形の優位点を活かした形です。

その下流にある佃大橋は、桁橋という構造形式です。通路と一体の桁が荷重を支えるので、どれくらいの断面ならよいか要検討する必要があります。昔は計算技術が今ほど優れていなかったことなどの理由から、多くの部材を単純な構造で組み上げて橋を造っていました。時代が経つにつれ、計算技術が向上すると同時に材料費が向上し、少ない部材で計算が必要な構造で橋を造るようになりました。吾妻橋が1931年竣工、駒形橋が1927年竣工であるのに対し、佃大橋は1964年竣工なので、このきらいがあるのでしょう。船を通す問題については、桁自体が上に凸の形をすることで空間を確保しています。

最後の勝鬨橋は、更に特殊な形になります。一見すると左右にアーチ橋を構え、中央は桁橋のように思えるかもしれません。しかし、実際はこの中央部分が開く構造になっております。この構造は、シカゴ型双葉跳開橋という、橋の左右が羽のように開く橋でした(1970年に完全停止)。橋が開けば、いくら上に大きい船でも通すことができます。ただし可動部は中央がつながっておらず弱い構造になるので、他の橋と比べて両端の橋を長くしています。この構造は非常に珍しく、2007年に同じ隅田川に架かる永代橋と清州橋ど一緒に、道路橋としては初めて重要文化財に登録されています。

ちょっとした豆知識ですが、もう一度上の画像をみてみて下さい。何故こんな形をしているのか、その理由が分かって、前よりも関心をもって橋を見ることができているのではないでしょうか。なんとなく見ていたものの理由が分かると、楽しく感じることができるのではないでしょうか。

隅田川は「橋の博物館」と呼ばれるほど、たくさんの橋があります。そのうちの多くが関東大震災後の帝都復興計画で建てられたもので、多様性を確保する為にたくさんの橋梁形式を使用されています。ただ歩くだけではどれもただの橋でしかないですが、その背景を知っていると、同じものをみているはずなのに全く違うものを見ている感覚になると思います。

タウンウォッチングは、この感覚を共有しながら行う町歩きです。町歩きをほとんどやってない人でも、きっと楽しめると思います。言ってしまえば「ブラタモリ」みたいなもんです。

タウンウォッチングをやる場合は、少なくとも一人はナビゲーターとして十分に勉強してから行う必要があります。しかし、事前の勉強が町の全てではありません。事前に調べていたことが現地に行ってみると一致しなかったり、新しい発見があったりします。そして、参加者の全員が必ずしも予習する必要もありません。知らない町を歩くのも楽しいですし、知らないからこその視点もあります。あなたが一番楽しめるやり方で参加してもらうのが一番です。

今は外出自粛を頑張らなければいけない時期なのでいつ開催できるか不明ですが、その時が来たら一緒に町歩きを楽しみましょう!